寂しい話

地元自治体が推進している子宮頸がんの無料検診が破局への入り口だった。
必死に婚活して、アラフォー手前でようやく見つけた夫。
乗り気でない男に逆プロポーズして結婚までこぎつけた。
結婚後も、
常に見張っていないと離れていくと思っていた。
そして事実そうなった。
検診で卵巣腫瘍が見つかり、
紹介された大病院で「卵巣のう腫」と診断された。
のう腫の大きさは6センチもあり、
拳代にも膨らんだのう腫が左右の卵巣に3つもあるらしい。
命に別条もないし、
今すぐ手術すれば卵巣の正常部分が残り妊娠能力も残すことが出来ると言われて、
手術を決意した。
医療費は手術代も含めて全部私持ち。
務めていた仕事にもなるべく穴を空けないように、
有給休暇を最小限に取得した。
すべては夫に迷惑をかけないようにと思ったことだった。
ああ、それなのに。
麻酔から覚めたとき、
私は全てを失った。
意識を取り戻した私の目に最初に移ったのは、
離婚届を手にした夫の姿。
二人で住んでいた家からも、
私の荷物だけが実家にまとめて送り返されていた。
「どうして」と泣く私に夫は「荷物にしかならない女に用はない」と冷たく言い放つと、
病室から出て行った。
それが夫だった男を見た最後であり、
二度と見ることがなかった。
神待ち